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てきとうなはなし

https://twitter.com/miel_snow/

【ヒメアノ〜ル】覚書

ジャニーズによるジャニヲタのための映画の舞台挨拶しか行ったことがないので舞台挨拶前後のふわふわほわーんという客席が好きな人に会えた空気から一変、上映後がひたすらお通夜みたいになる初日舞台挨拶は初めてだった。

みんな引きつった顔で「ああ…」ってため息ついてた。
もちろんわたしも。
またTOHOシネマズ新宿が最新の音響施設にスクリーンだからね。いらん、この映画にそんな設備いらん。

ジャニーズだからテアトル系ではなく全国ロードショーなんだというのを見かけたので、同じR15スプラッタ映画悪の教典を調べたら300くらいか。つか悪の教典あのスプラッタぷりでR15かよ。
ヒメアノ〜ルは85。ちょんまげぷりんとかばしゃ馬さんもたぶんそれくらいなのでそんなもんなのかと思ってた。普通の大型作品は300もあるんだな。
でもミニシアター向きだと思うので、シネコンの大型スクリーンでやるのも良し悪しだと思う。

ピングレは確かPGもRもついてなくてグラスホッパーはPG12。R指定とかって何が基準なのかよくわからないけど、エロより暴力っぽい。
ヒメアノ〜ルはダブルパンチなのでR15はやむをえないけども、中高生に見て欲しいな本音は。

原作はネットで調べた限り、モリタはもともとサイコパスの異常性癖の持ち主でときにそれに葛藤していること、オカダとは同じクラスメイトだったけどほぼ関わりなく、作中も直接的な関わりがないこと、ユカは映画とは真逆の派手な美人だけど純情なタイプであること、など結構違いがあるので原作の熱心なファンは改変に怒りそうかな。昇華できてよかったという人もいるけど。
映像化は監督の二次創作、って言ったのは行貞監督だったっけ。
内容的にも好き嫌いがかなり分かれるはずなのでこんな高評価なのは不思議だけど、でも剛くんが評価されるのは素直に嬉しい。

絶賛されてるタイトルの出し方は上映前の舞台挨拶のときに監督が「わぐっちゃんの『あいつやべーんだよ』というセリフが好き、そこからすべて始まるから」って言ってたのでそっちを重視してしまったので、監督の一言失敗だよ!
クレジット、MORITA Goみたいな表記の中、ムロくんだけ全部大文字だったのはなんか意味があるのかな。やっぱり「もう安藤しか信用できない…」ってなるからかな。

意味のない暴力の映画っていうのはちょくちょく見てるし劇中の血まみ暴力も性暴力もわりと平気で「ふーん」って見てるので平気だと思ってた。実際見たら卒倒してるけど映画だから作り物だから。
前情報で聞いてた殺人したあとに食事する、というのも実際あった一家殺人事件以来異常殺人者の符号化していたのでそれもふーんって思ってた。
でも吉田監督はそういうのを上回る底意地の悪さだった。
殺人前後にカレー食べるシーン、ちょっと可愛いんだよ。薄気味悪いモリタが唯一ちょっと可愛いの。
人が食事してるところはどんな人でも滑稽、みたい言葉をすごくうろ覚えだけど聞いたことがあるが、要するにそういうことで、しかしその落差がじわじわ精神に来る。

殺人シーン全部胸糞悪いけど、特に一軒家の旦那さんを背中から刺すシーン。
何回も何回も刺す包丁全部が全部背中に突き刺さるわけじゃなくて、刃先少しだけ刺さるときもある。
実際自分も他人も刺したこともないし刺したところを見たことないから想像に過ぎないけど、全力の殺意を持ってても力がないだろう人が刺したらそうなるんだろうな…って思ったんだよね。
全部刃がまるまる刺さるとは限らないだろうと。それがあたかも実感したみたいになってダメだった。最近あった殺傷事件も合わせて本当にもうダメだった。
よく公開延期にならなかったね…。
警察官の左胸にゆっくり刃が入るのも同様に“体験したことないけどこんな感じな気がする”みたいになってしまった。
何と言っても女としては、性的暴行のシーンで下着に生理用品がついてたこと、それをモリタがどうでもいいことのように投げ捨てること。
あの言葉にできない身の毛がよだつ感じ絶望感、男性に伝わるのだろうか。
普通映画の中の暴力ってイヤな言い方だけどエンターテイメントであったりショーであったりするんだよね。だから私も平気なんだけど、この映画はそうではなかった…。
日常が流れる間に石に躓いたとか階段から落ちたとかそんな風に殺人があるから。

強いて言うならわぐっちゃんの彼女が殺されるところとユカとオカダのセックスが交互に流れるシーンが映画的エンターテイメント…かもしれない…最高に恐怖を煽るシーンだけど。
あなたがセックスしているその横で誰かが殺されてるかもしれない、それは本当はあなたなのかもしれないっていう暗喩が…。

あとばしゃ馬さんでも思ったけど監督は可愛い子をブスに見下させる演出が本当にうまくてムカつくな。
パンフレットも穏やかな田舎の普通の高校生がゲームしてる写真をめくると血まみれのモリタが出てくるところも本当にいじわるだよ。

本当はヒメアノ〜ルは暴力的なものの話でも快楽殺人者の話でもなくて、日常と非日常の曖昧さと何かの結果には時に理由があるし時に理由なんてないという映画なのかな、って。虚無。

しかしヒメアノ〜ルは一生心に残る映画だけど吉田監督は嫌いだ。底意地が悪い。